レッドゾーン

夫が帰宅したのは深夜1時過ぎ。
入浴を済ませたあと、持ち帰ったCDをステレオに入れ、耳にはワイヤレスヘッドホン。
食卓テーブルにPCを広げて自分の世界に入っていた。
私は重い腰を上げ、キッチンに立ち、夫のためにグリルで魚を焼き、大根おろしを作っていた。
「待たせちゃったなぁ」と思いつつ、夫の目の前に遅い夕食を運んだら、やっとPCから目を離し、「！？」って顔をしている。

「もしかして、食べて来たの？」
「だって今日は仕事のあと練習（バンドの）って言ってたろ。そう言う日は食ってくることになってるだろう」
「なんでひとこと食べて来たって言わないの！！」
「いいよ、食べるよ」
「そういう問題じゃない！なんでこんな時間に必要のない食事を用意させるのさ。それより、私が台所にずっといるのを見ていて何とも思わなかったわけ？」
「あー、タバコ吸ってるんだなと思ってさ」
「はぁあ？？」

うちは対面キッチンで、私は夫の目の前で、食事の仕度をしていたのだ。
音楽聴いてパソコンやってたから全く視野に入っていなかったのかもしれないけど、それにしても、人の行動に余りにも無関心すぎる。
それはそれで都合の良いときもあるけれど、こういう場合には「失望」という言葉しか浮かんで来ない。

仕事→バンド練習という土曜日が、かなり久しぶりで、夕食いらんってこと、全く思い出せなかった。
もっとも、「ごはんまだ？」とかね、普通の夫婦ならそれくらいの会話があるんだろう。
でも、私はハナっから、「帰ってきたかー。メシかー。めんどくせー」っていう思考しかないのだ。特にかなり遅い時は。
ちっ、この夜中によぉと思いながら、先週もすごい時間に（2時3時）にキッチンに立った。
だから、条件反射のように用意してしまったわけだが。

かなりムカつきましたね。
っつーか、レッドゾーン突入で、言いたい放題言わせてもらった。
こっちも無関心、あっちも無関心。
一見穏やかで、何事もない日常だが、実に心がこもっていないことを思い知らされる。
同じ空間にいながら、お互い全く視野にも入れない関係。

揉め事の原因ときたら、「言ったはず」「聞いてない」の水掛け論が多い。
相手の言葉にきちんと耳を貸すっていう気が普段からないのだ。

夫は私のことを、怒りすぎだと、そのことに不機嫌になる。
でも、それだけのことをかましてくれるのだ、ヤツは。
向こうもだんだん逆ギレ度が高くなってきたが、その分こっちはパワーアップしてやるぜ！フン。



これでいいのか？